大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪高等裁判所 平成11年(行ス)15号 決定

抗告人(原審申立人)

有限会社 高見産業

右代表者取締役

高見征希子

相手方(原審相手方)

天王寺税務署長 大倉信二郎

相手方(原審相手方)

大阪国税局長 森田好則

主文

本件抗告を却下する。

抗告費用は抗告人の負担とする。

理由

一  当事者の申立て等

本件抗告の趣旨及び理由は、別紙のとおりである。

二  当裁判所の判断

1  抗告人は、原決定の送達は裁判所と郵便局とのミスにより平成一一年一一月二九日に送達された旨主張するが、一件記録によれば、原決定は基本事件(本案事件)の判決と同時に送達に付され、特別送達については、不在のため郵便局に保管されたが、保管期間内に抗告人が郵便局に取りに行かなかったため裁判所に返送された(抗告人はこれについて郵便局が約束を無視して保管期間内に裁判所に返送した旨の書面を提出しているが、記録によれば、平成一一年九月一〇日に不在であったため一七日まで保管していたものと認められ、夜間に再度送達手続が行われた時期は判然としないが、郵便による送達手続に違法があるとは認められない)ことから同年一〇月一日に郵便に付する送達手続が採られたことが認められる。そうすると、原決定の送達の日は民訴法一〇七条三項により、同年一〇月一日と認められ、即時抗告の期間は同年一〇月八日までであって、同年一二月六日に原審に提出された本件抗告は抗告期間を徒過したものであるから、不適法であって補正の余地がないことは明らかである。

2  更に、一件記録によると、抗告人は本案事件の第四回口頭弁論期日(平成一〇年六月二四日)に文書提出命令申立をしたこと、原裁判所は平成一一年六月三〇日に口頭弁論を終結し、同年九月八日付で抗告人の右文書提出命令申立却下決定(原決定)をし、同日本案につき判決言渡をしたこと、抗告人は本案に対して控訴申立て(同年一一月一五日)をするとともに、原決定に対しても即時抗告(同年一二月六日)をしたことがそれぞれ認められる。

文書提出命令の申立てについての決定に対しては即時抗告をすることができる(民訴法二二三条四項)ことが定められているが、書証の取調べ申し出の方法である文書提出命令の性質からして、本案事件の判決言渡後は文書提出命令の申立てを却下した決定に対する抗告は不服申立ての利益を欠くものとして許されないものというべきである。そうすると、この点からいっても本件抗告は不適法であって補正の余地がない。

3  よって、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 井筒宏成 裁判官 古川正孝 裁判官 富川照雄)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例